瑕疵担保責任と契約不適合責任

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瑕疵担保責任と契約不適合責任

2024.04.30

瑕疵担保責任

「瑕疵担保責任」とは、売買契約・請負契約において売主・請負人が欠陥に対する責任を負うことです。
不動産取引において、買主は土地や建物の状態、周辺環境についての説明を受け、土地・建物に納得した上で契約を交わします。
しかし、実際に住みはじめてから、建物の欠陥や不具合などを発見するなど、買主が通常の注意を払った上で発見できなかった土地・建物の瑕疵を「隠れた瑕疵」と呼び、この隠れた瑕疵が瑕疵担保責任の対象となります。

※瑕疵が「隠れた」ものでない場合は、あえて法定責任を認める必要もないと考えられています。

瑕疵担保責任において、隠れた瑕疵が発覚した場合、買主は売主に対して“発見してから1年間”は「損害賠償」を請求する権利があり、瑕疵の程度によっては「契約解除」請求も可能で、その権利を行使できなくなる時効は10年とされていました。
瑕疵担保責任は売主と買主が不動産の売買取引を行う上で経済的な不公平が生じないようにするために定められた法的責任であり、売主は無過失であったとしても損害賠償や契約解除に応じる必要があります。

2020年4月1日に施行された改正民法により、従来の「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」へと改められ、権利の幅が広がりました。

契約不適合責任

民法の改正によって瑕疵担保責任から改められた「契約不適合責任」。
「契約不適合責任」とは、売買契約・請負契約において、「目的物に契約内容と異なる点があることが分かった場合」に売主が負う責任のことです。

改正前の瑕疵担保責任に基づく損害賠償や契約解除は「隠れた瑕疵」が前提であり、「瑕疵が隠れたものでない場合」には法的責任は認められない、とされていました。
しかし改正後の契約不適合責任では、瑕疵が隠れたものか否かではなく、「目的物がその種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しているかどうか」が焦点となりました。

改正前の瑕疵担保責任では、買主は隠れた瑕疵を発見してから1年以内に権利の“行使”が必要であり、その権利を行使できなくなる時効は、引き渡しから10年とされていました。
改正後の契約不適合責任では、1年以内の権利の“行使”から「1年以内の“通知”」に変更。権利を行使できなくなる時効についても、引き渡しから10年から「引渡しから10年・買主が事実を知ってから5年」に変更されました。

中古物件の場合、契約不適合責任に対応するためにホームインスペクション(住宅診断)をして既存住宅かし保証保険に加入することにより、隠れた瑕疵発覚後のトラブルを防止することができます。
瑕疵保険に加入するためには検査に適合しなければいけないため、検査で見つかった不適合箇所(雨漏りやシロアリの被害等)の修繕が必須となります。
そのため、中古物件よりも、新築の注文住宅の方が欠陥や契約との相違で契約不適合責任が問題となるケースが多くあります。

契約不適合責任における契約解除

瑕疵担保責任において、売買の目的物件に隠れた瑕疵が存する場合に認められる瑕疵担保責任の内容は、原則は損害賠償であって、契約の解除は、買主がその瑕疵を知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができない場合に限られていました。
これに対し契約不適合責任では、債務不履行の一場面と解されることになるため、契約不適合責任に基づく契約解除は、債務不履行による解除と同様に処理されることになりました。
契約不適合責任に基づく解除は、債務不履行の一般原則と同様に相当の期間を定めて催告し、催告期間内に履行されなければ契約を解除できるということになり、債務の不履行部分が軽微であるときは解除できないことになります。